ADHD(注意欠陥・多動性障害)の特性を持つ方にとって、「うっかり忘れ」「先延ばし」「頭の中の混乱」といった日々の困りごとは少なくありません。
しかし近年、テクノロジーの進化により、これらの課題を補うためのメモ・タスク管理アプリが数多く登場しています。
この記事では、ADHD当事者が日常生活や就職活動で抱える悩みを解決できるよう、特性にフィットする厳選メモアプリ5選をご紹介します。それぞれの機能がADHDの困りごとにどう役立つかを評価し、料金体系やユーザー評価もあわせて解説。さらに、IT特化型の就労移行支援「チームシャイニー」での活用方法にも触れ、日々の自己管理や就職活動を効率化する強い味方として活用するヒントをお届けします。
ADHD特性にフィットするメモアプリ選びのポイント

ADHDの特性を持つ人がメモアプリを選ぶ際は、以下のポイントに注目すると良いでしょう。
- 直感的で使いやすいUI: 疲れている時でも迷わず使えるシンプルな設計か。複雑すぎるとアプリ自体が続かなくなるため、直感性が重要です。
- タスク・予定の一元管理: カレンダーやToDoリスト、ノートを一つのアプリで管理できると、情報を見落としにくくなります。
- 充実したリマインダー機能: 通知アラームで「うっかり忘れ」を防止。繰り返し通知や、重要なタスクを強制的に知らせる機能があると安心です。
- 視覚的な整理: タスクや情報を色分けやボードで見える化し、進捗状況や全体像を一目で把握できることが理想的です。
- 音声入力・録音: 思いついたことをすぐ音声メモとして残せると、思考が流れてしまう前に記録できます。
- クロスプラットフォーム: スマホ(iOS/Android)とPCで同期できると、場所を問わず情報にアクセス可能です。
- 継続しやすいコスト: 無料でどこまで使えるか、無理なく続けられる料金かも大切な要素です。
これらのポイントを踏まえ、おすすめのADHD向けメモアプリを早速見ていきましょう。
ADHDの困りごとを解決!おすすめメモアプリ5選

1.Evernote(エバーノート)
Evernoteは、PC・スマホで古くから愛用者の多い定番ノートアプリです。テキスト、画像、音声、PDFなど、あらゆる形式の情報をノートとして保存し、タグやノートブックで整理できます。
強力な検索機能により、画像内の手書き文字まで認識・検索できるのが大きな特徴です。まさに、散らばりがちなアイデアや資料を一つに集約できる**「デジタル書類キャビネット」と言えるでしょう。
最近ではタスク管理機能**も追加され、ノート内でチェックリストやリマインダーの設定も可能になりました。
ADHD向けポイント
思考が多方向に散らばりがちなADHDの頭の中を、外部記憶として整理するのに役立ちます。
撮った写真や書類の画像から文字を検索できるため、紙のメモを紛失しやすい人にも安心。
また、音声録音しながらメモを取ることができ、手を止めずにアイデアを書き留められます。ノートを共有して他者からサポートを受けることも可能です。
- 対応プラットフォーム: iOS/Android、PC版、Web版。スマホとPC間で常に同期されます。
- 無料プラン: ノート作成数や月間アップロード量に制限がありますが、基本機能は無料で利用可能。同期端末は2台まで。
- 有料プラン: 個人向け「Personal」は月額$14.99で、同期端末無制限や大容量アップロードが利用できます。
- ユーザー評価: G2での評価は5点中4.4点。多機能で強力な検索機能が評価される一方、「習得に時間がかかる」という声もあります。
2.Google Keep(グーグルキープ)
Google KeepはGoogleが提供するシンプルなメモアプリです。ポストイットのようにカラフルなメモをボード上に並べて管理でき、買い物リストなどのチェックリストも簡単に作成可能。
スマホでは音声入力に対応しており、話しかけるだけで音声をテキストに自動変換してメモを残せます。Googleアカウントと連携し、ブラウザやスマートウォッチからもアクセスできる手軽さが魅力です。
ADHD向けポイント
UIが直感的で、**「複雑なアプリは苦手」という方でもハードルが低い点が特徴です。音声メモのテキスト化機能により、ふと浮かんだアイデアをキーボード入力の手間なく即記録できます。メモごとに色分けやラベル付けができるため、視覚的に情報を整理しやすいのも利点。さらに、日時だけでなく場所(位置情報)**と連動したリマインダー通知は、必要な時に必要な情報を知らせてくれるため、「うっかり忘れ」防止に非常に効果的です。
- 対応プラットフォーム: iOS/Android、ウェブブラウザ。
- 無料プラン: 完全無料で全機能を利用可能。
- 有料プラン: なし。
- ユーザー評価: Google Playストアでの評価は5点中4.7点と非常に高い。「シンプルで必要十分」「リマインダーで忘れ物を防止できる」と好意的なレビューが多く、幅広いユーザーから支持されています。
3.Todoist(トゥドゥイスト)
Todoistはタスク管理に特化した人気アプリです。箇条書きのToDoリストからプロジェクト別のタスクリストまで柔軟に対応し、締切日や優先度を設定できます。
特筆すべきは、「明日17時に○○さんへメール」のように入力するだけで日時付きタスクが自動生成される自然言語処理機能です。また、完了タスク数に応じて「カルマポイント」が貯まるゲーム感覚の仕組みも、モチベーション維持に役立ちます。
ADHD向けポイント
「思いついた時にすぐタスク登録」という行動を強力に後押ししてくれるため、先延ばしを防ぐのに役立ちます。タスクに優先度を付け、視覚的に重要タスクを強調できるため、優先順位を見失いにくい設計です。自分のタスク完了ペースが可視化されるレポート機能もあり、達成感を感じながら取り組める工夫が満載です。
- 対応プラットフォーム: iOS/Android、PC、Web、ブラウザ拡張など。
- 無料プラン: 基本的なタスク管理機能は網羅。プロジェクト数やタスク数に制限があり、リマインダー通知機能は有料です。
- 有料プラン: プロプランは月額$5で、リマインダー機能や各種制限が解除されます。
- ユーザー評価: G2での評価は4.4点。「やることが整理され頭の中がクリアになった」「タスクを完了するのが楽しく達成感がある」といったADHD傾向の方からのポジティブなコメントも目立ちます。
4. Notion(ノーション)
Notionは、アイデア次第で何でもできるオールインワン情報管理ツールです。ドキュメント作成からタスク管理、データベース構築まで、ブロックを組み合わせる感覚で自由にページを作成できます。複数のアプリを切り替えることなく、メモ、タスク、データベースを一箇所で完結できるのが最大の強みです。
ADHD向けポイント:最大の特徴は圧倒的なカスタマイズ性の高さです。自分の思考パターンに合わせて情報の整理方法をデザインできるため、「頭の中の見える化」を自分ルールで実現できます。就職活動のデータベースを作って応募状況を管理したり、毎日の日課チェックリストを作成したりと、自由自在に管理できます。また、他人とページを共有してリアルタイム共同編集ができるため、支援者や家族と協力しやすいのも利点です。
- 対応プラットフォーム: iOS/Android、Windows/Mac、Web版。
- 無料プラン: 個人利用であれば機能はほぼ無制限(ファイルアップロードに一部制限あり)。
- 有料プラン: 「プラスプラン」は月額$8で、アップロード容量拡大などが利用できます。
- Trello(トレロ)
5.Trello(トレロ)
Trelloは、カンバン方式でタスクを管理できるアプリです。付箋やカードをホワイトボードに貼って動かすような感覚で使え、「ToDo」「Doing」「Done」などのリスト間でタスクカードをドラッグ&ドロップして進捗管理します。
各カードにはチェックリスト、期限、ラベル、添付ファイルなどを付加でき、視覚的かつ直感的にプロジェクト全体を俯瞰できるのが魅力です。
ADHD向けポイント: Trelloの強みは、何と言っても**「見てわかる」タスク管理**です。頭の中であれこれ考えなくても、ボードを開けば現状が一目瞭然なので、注意が散漫になりやすいADHDの方でも状況把握に労力がかかりません。
就職活動の進捗を「応募予定」「書類送付済み」「面接予定」などのリストで整理すれば、自分が今何をすべきか明確になります。
タスクを細分化すれば達成感を味わいながら進められますし、カラフルなラベルで優先度を分けるなど、ビジュアルに情報整理したい人にはうってつけです。
- 対応プラットフォーム: iOS/Android、PC、Web。
- 無料プラン: ほぼすべての基本機能が利用可能。ボード数や拡張機能に一部制限があります。
- 有料プラン: 「Standard」は月額$6で、無制限のボードや拡張機能が利用できます。
- ユーザー評価: Capterraでの評価は5点中4.5点。「散らかったタスクを整理し進捗管理するのに最適」「シンプルなのに必要十分」と高く評価されています。
チームシャイニーのゼミで活用するポイント
就労移行支援「チームシャイニー」で行われている日常生活編や就職編のゼミでも、上述のアプリは効果的なツールとして活用できます。
日常生活編ゼミ
生活リズムの確立やタスク管理がテーマであれば、まずは Google Keep を使ったルーチン管理がおすすめです。
毎朝・毎晩のやることリストをKeepで作り、決まった時間にリマインダー通知を設定すれば、「歯磨きや服薬を忘れてしまう」といったミスを防げます。また、Todoistで日課タスクをゲーム感覚でこなし、完了ポイントをゼミで共有するのも良いモチベーションになります。
就職編ゼミ
就活の進行管理には Trello や Notion が強い味方です。Trelloなら求人情報をカード化し、「応募予定」「書類送付済み」「面接予定」などのリストに動かすことで、複数社への応募状況を一目で把握できます。
Notionなら履歴書やポートフォリオの整理、企業ごとの面接対策ノート作成など、自分だけの就活データベースを自由に構築できます。Evernoteは、自己分析や面接で話すエピソードのストックに最適です。思いついたことを音声でメモしておき、後でPCで清書するといった使い方も有効でしょう。
まとめ:デジタルツールで「自分らしい」未来を築こう
今回ご紹介したADHD特性にフィットするメモアプリは、それぞれ異なる強みを持っています。共通しているのは、日々の困りごとを軽減し、自己管理能力を高める強力なツールになるという点です。
まずは気になるアプリを一つ試して、ご自身のライフスタイルに合った「相棒」を見つけてみてください。
デジタルの力を賢く活用し、「チームシャイニー」のようなサポートと組み合わせることで、日常生活や就職活動の不安を減らし、自分らしく充実した日々を築いていきましょう。
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